人手不足

介護業界における2025年問題と人手不足

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介護業界における2025年問題と人手不足

介護データ・用語定義

この記事の中で扱う数字や用語の説明です。

介護データ

37.7万人
2025年に不足するであろう介護人材
2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について(厚生労働省)
605万8千人
要介護認定者数(平成28年10月時点の暫定値では629.7万人)
平成26年度 介護保険事業状況報告(厚生労働省)
介護保険事業状況報告の概要 平成28年10月暫定版(厚生労働省)
522万4,400人
介護保険サービス利用者数
介護給付費等実態調査月報(平成28年11月審査分)(厚生労働省)
170万8千人
介護職員数
介護人材の確保について(平成25年度)(厚生労働省)
3461万人
高齢者人口
統計からみた我が国の高齢者(総務省統計局)
27.3%
高齢化率
統計からみた我が国の高齢者(総務省統計局)
1,641万人
後期高齢者(75歳以上)の人口
平成28年版高齢社会白書 高齢化の状況(内閣府)
100万5,677人
出生数
平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)
1.45
合計特殊出生率
平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)
2.07
人口置き換え水準
人口減少のメカニズム(国立社会保障・人口問題研究所)
9兆5,887億円
介護給付費総額
平成26年度 介護保険事業状況報告(厚生労働省)

介護関連用語

合計特殊出生率
15歳~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。
合計特殊出生率について(厚生労働省)
人口置き換え水準
人口を維持するために一人の女性が産む子供の数で、これを下回ると人口減少に転じる。
基本的に夫婦2人で子供を2人産むことができれば人口は増減なしになるが、15歳になる前に病気や事故などで亡くなるケースも考慮する必要があるため、現在の日本で2.07とされています。
人口減少のメカニズム(国立社会保障・人口問題研究所)

2025年問題

17年前の西暦2000年に「2000年問題」というものがありました。
覚えている方もたくさんいると思います。

2000年問題は、コンピューターの世界での話です。
昔のコンピューターは西暦を下二桁で判断していたため、1999年までは「99」で問題なかったのですが、2000年に「00」となると1900年として認識されてしまう問題がありました。
一般の方にはそれほど影響はありませんでしたが、コンピューター関連のシステム会社はこの2000年問題の対応に追われることになったのです。

それ以降、20XX年問題というのがいろいろと発生するのですが、介護業界では8年後となる「2025年問題」が叫ばれています。
介護関係者であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
2025年問題とは、約806万人と言われる最も人口ボリュームが大きい世代である、いわゆる「団塊の世代(1947~49年の第一次ベビーブーム期に出生した世代)」団塊の世代が2025年までに75歳である後期高齢者に達することで、介護人材の不足や介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されるという問題です。

人手不足の介護業界

2025年問題は介護職員が37.7万人不足すると言われています。
2000年に介護保険介護保険制度が始まってから、高齢者や要介護者数は右肩上がりで増え続けていて今後も増えていくことが予想されます。
要介護認定者数は、高齢者数に比例する形で現在は605万8千人まで増え続けています(平成28年10月時点の暫定値では629.7万人)。そのうち実際に介護保険サービスを利用した要介護者数は522万4,400人です。

一方、要介護者を支える介護職員は170万8千人となっています。
介護職員の数も増え続けて入るのですが、要介護者の増え方のほうが伸び率が大きいので差が開くばかりです。
要介護者が2025年まで急激に増え続け、2025年以降は伸び方は緩やかになり次第に横ばいで推移していくと試算されています。

人手不足の原因とは

要介護者と介護職員の数のバランスが崩れるの原因は何なのでしょうか。
この背景には「超高齢社会」と「少子化問題」があり、歪んだ人口構造が一つの要因として考えられています。

超高齢社会

高齢化社会と言われるようになってからずいぶん経ちましたが、現在は超高齢社会です。
総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合のことを高齢化率と言いますが、世界保健機構(WHO)や国連の定義では次の通りです。

高齢化社会
高齢化率が7%を超えた社会を
高齢社会
高齢化率が14%を超えた社会
超高齢社会
高齢化率が21%を超えた社会

これは1956年(昭和31年)の国連の報告書において当時の欧米先進国の水準を基に定義された数字らしいので、現在にそのまま当てはめてよいものかは疑問はありますが、現在の日本は超高齢社会なのです。

少子化による人口減少の影響もあり、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者で、5人1人が75歳以上の後期高齢者となる社会も近いかもしれません。

少子化問題

次に少子化問題ですが、現在の日本の合計特殊出生率人口置き換え水準を下まわっている状況が続いています。
人口置き換え水準は2.07ですが、2015年における日本の合計特殊出生率は1.45となっています。合計特殊出生率は前年より若干上がりましたが、出生数とともに減少傾向が続いている状況です。
合計特殊出生率が人口置き換え水準を下回ると人口減少に傾き始めるので、今後は少子化問題とともにさらに人口減少も進んでいくことになります。

少子化の原因は若年層の労働環境や所得低下、結婚や出産の意識の変化など様々な要因があると思いますが、日本以外の世界各国の合計特殊出生率はどの程度なのでしょうか。
内閣府が調査した合計特殊出生率のデータやTHE WORLD BANKによる世界各国の統計データを見てみたいと思います。

先進国の合計特殊出生率
アジアの合計特殊出生率
世界各国の合計特殊出生率

ある程度の先進国であれば合計特殊出生率は人口置き換え水準を下回りまわる傾向にあり、人口減少は自然のことのように考えられます。
反対に途上国では高くなる傾向になっており、これらの国が世界の人口の底上げをしていると言えます。
このことを考慮すると、少子化問題や人口減少問題にとって所得低下自体についてはあまり関係ないかもしれません。もし関係するとすれば所得格差が問題と言えるように思います。

少子化問題を解消するための対策を講じていく必要がありますが、介護業界にとって問題なのは少子化による人口減少自体ではなく、超高齢化と少子化問題による歪んだ人口構造こそが問題であると考えられます。

超高齢社会になると医療と介護や年金などの社会保障費も膨れ上がります。
2014年時点での利用者の自己負担や高額介護サービス費などを含めた介護給付費総額は9兆5,887億円なっており、今後もさらに増えていくものと予想されます。

これからの介護業界は直接的に関連する超高齢化と少子化の両側面による社会問題が拡大していくなかで、2025年問題を乗り越えていかなければなりません。

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