低賃金

介護職員はなぜ低賃金なのか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
介護職員はなぜ低賃金なのか

現在の介護業界には過度な人手不足という問題がありますが、同時に介護職員の低賃金という問題も抱えています。
人手不足であれば本来なら賃金を上げて求人募集をするべきなのですが、介護業界では人件費を上げることも難しい状況になっています。

介護データ・用語定義

この記事の中で扱う数字や用語の説明です。

介護データ

23万8,400円
介護業界における一ヶ月あたりの平均賃金(賃金基本給、家族手当、超過労働手当を含む。賞与は含まない。手取り額ではなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額。)
介護人材の確保について(厚生労働省)
29万4,400円
医療業界における一ヶ月あたりの平均賃金(賃金基本給、家族手当、超過労働手当を含む。賞与は含まない。手取り額ではなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額。)
介護人材の確保について(厚生労働省)
32万4,000円
全産業における一ヶ月あたりの平均賃金(賃金基本給、家族手当、超過労働手当を含む。賞与は含まない。手取り額ではなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額。)
介護人材の確保について(厚生労働省)
1.82
介護業界の有効求人倍率
介護人材の確保について(厚生労働省)
10兆円
介護給付費
社会保障の給付と負担の現状(2016年度予算ベース)(内閣府)

介護関連用語

有効求人倍率
職業安定所(ハローワーク)に登録された有効求人数をハローワークに申し込んでいる有効求職者数で割った値のこと(有効求人倍率=求人数÷求職者数)。
用語の定義(厚生労働省)

他の業界に比べても賃金が低い

厚生労働省によると、介護業界における一ヶ月あたりの平均賃金は23万8,400円となっております。額面の賃金なので、手取りはこれから税金が引かれた額になります。
全産業で見ると32万4,000円となっているので、介護業界は低賃金であり業界格差が顕著に現れていると言えます。

しかし、冒頭でも述べたとおり人手不足の状況であればあるほど、賃金を上げたり求人募集にコストをかけるのが通常ですが、介護業界ではそれができておりません。
次に介護業界の人手不足の状況を見てみます。

介護業界の有効求人倍率

厚生労働省によると、2013年における介護業界の有効求人倍率は1.82で、人手不足の状況が続いており今後はさらに有効求人倍率が高くなると見込まれています。
同調査によると全産業では0.93となっているので、他産業に比べても介護業界は慢性的な人手不足の状況です。

このように人手不足でも賃金を上げることのできない介護業界ですが、なぜ賃金を上げることができないのでしょうか。

介護業界における低賃金の原因

介護業界における低賃金の主な原因として次のようなことが考えられます。

  1. 公定価格により収益の上限が決まっているため、介護報酬も上がらない
  2. 超高齢社会による社会保障費の増大によって介護報酬が減額となる

公定価格により賃金も上限固定化

介護業界は他の業界とは異なり、準市場と呼ばれる公的サービスに競争原理を取り入れたサービス形態です。
他の業界であれば、需要と供給の関係から競争が生まれサービス価格も変動していきます。
供給よりも需要が大きければ価格は上がり、反対に供給よりも需要が小さければ価格は下がっていきます。
介護業界は民間企業の参入により競争原理は生まれましたが、介護施設・事業所側で介護サービスの価格を自由に決めることはできません。

介護業界ではサービスごとに価格が決まっている公定価格であり、そのサービスの対価である介護報酬も事前に決まっています。
そのため、他の産業のように経営方針や営業努力で収益が改善するといったことはなく、いくら努力しても収益の上限が決まっている業界です。
このような背景が、介護職員の賃金を上げるのことが難しいとされる原因の一つと考えられています。

超高齢社会による社会保障費の増大

超高齢社会である現在は、高齢者の増加によって社会保障費が増え続けてるという状況にあります。
内閣府によると、現在の介護給付費は10兆円となっており、今後もさらに増大することが見込まれています。
また、介護以外の社会保障給付費は医療が37.9兆円、年金が56.7兆円となっており、ともに高齢者が増えれば増えるほど社会保障費が膨れ上がるのが現状です
介護給付費の増大により、に行われた介護報酬改定により介護報酬はマイナス-2.27%となり、介護施設・事業所の経営圧迫や介護職員の賃金低下の原因の一つとなっています。

しかし、これらに言えるのは介護業界だけではなく、医療業界にも同じことが言えることです。
上記の理由だけであれば、医療業界も公定価格や超高齢社会による社会保障費の増大により介護業界と同様に低賃金であるはずです。
つまり、介護職員が低賃金である原因は医療業界にはない介護業界独自の原因があると考えられます。

次のページは介護士と看護師における賃金格差です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*