低賃金

介護職員処遇改善加算による賃上げで人手不足の解消へ

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処遇改善加算によって介護職員の給料をアップさせることが人手不足の解消にもつながる

現在の介護業界では人手不足と低賃金という大きな問題がありますが、この人手不足と低賃金は密接に関係しています。
介護業界に限らず、給料が安ければ人が集まらないのは当然のことであり、人手不足を解消するにはまず低賃金の問題を解消する必要があります。
しかし、現在は介護業界以外も人手不足の状況が続いているため、介護業界はなおさら賃上げをして低賃金問題を解消する必要性が大きいと言えます

そんな中、現在の介護業界では処遇改善加算という制度で介護職員の給料をアップさせる仕組みが設けられています。

介護データ・用語定義

この記事の中で扱う数字や用語の説明です。

介護データ

37,000円
29年度以降における処遇改善加算によって相当する月あたりの限度額(29年度から新たに1万円相当の加算額拡充)
平成29年度介護報酬改定の概要(案)(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)
13,170円
介護職員の1年間での平均月額給与上昇額(の比較)
介護人材の処遇改善について(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)

介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは介護職員の給与上昇を目的として設けられている制度です。
元々平成23年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金を賃金改善の効果を継続する観点から、平成24年度から介護報酬に移行、創設されました。

平成24年度に月額最大15,000円相当の給与改善のための処遇改善加算が設けられ、平成27年度にはさらに12,000円相当の加算ができるようになりました。
さらに平成29年度には10,000円相当の加算が新たに設けられることになっており、最大で37,000円相当の加算額となります
平成27年度に介護報酬が2.27%引き下げられましたが、処遇改善加算という形で徐々に介護職員の賃上げを図っている状況です。

ただし、介護職員処遇改善加算は全ての介護施設が対象となるわけではなく、加算対象とならない介護サービスもあります。
また、処遇改善加算額には5つの区分がありそれぞれ取得するための要件があります。

介護職員処遇改善加算
平成29年度における介護職員処遇改善加算

区分を決定する算定要件であるキャリアパス要件の1~3、および職場環境等要件は次のように定義されています。

キャリアパス要件1
キャリアパス要件1は職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備することを目的として、次のように定められています。

次に掲げる要件の全てに適合すること。

  • 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(賃金に関するものを含む)を定めていること。
  • アに掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
  • ア及びイの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
キャリアパス要件2

介護職員の資質向上のための計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保するとともに、全ての介護職員に周知していること。

キャリアパス要件3

経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること(就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む)

職場環境等要件(旧定量的要件)

(※加算(Ⅰ)の場合:)から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善の内容(賃金改善を除く。)を全ての介護職員に周知していること。

平成29年度介護報酬改定の概要(案)(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)
介護人材の処遇改善について(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)
介護人材の処遇改善について(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)

平成29年度からは5つの区分が設けられ、それぞれの処遇改善加算は以下のようになります。

処遇改善加算1

平成29年度に新しく新設される加算区分であり、同じく新設されたキャリアパス要件3を含むすべての要件を満たす場合に取得でき、月額37,000円相当の加算額となります。
新設された目的として、キャリアパス要件3は「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」とあり、キャリアパス1と2だけでは昇給の条件が曖昧(あいまい)なことからどのような場合に昇給するのかを明確にする仕組みづくりを促したものです。

処遇改善加算1
キャリアパス要件3による賃上げイメージ

処遇改善加算2

旧加算1に当たるもので、キャリアパス要件3を除く区分でありキャリアパス要件1と2、及び職場環境等要件を満たす場合に取得でき、月額27,000円相当の加算額となります。

処遇改善加算3

旧加算2に当たるもので、キャリアパス要件1、またはキャリアパス要件2のいずれかが必要で、加えて職場環境等要件を満たす場合に取得でき、月額15,000円相当の加算額となります。

処遇改善加算4

旧加算3に当たるもので、キャリアパス要件1、またはキャリアパス要件2、または職場環境等要件のいずれか一つを満たす場合に取得でき、処遇改善加算3の0.9倍相当の加算額となります。

処遇改善加算5

旧加算4に当たるもので、キャリアパス要件1、またはキャリアパス要件2、または職場環境等要件のいずれかも満たさない場合に取得でき、処遇改善加算3の0.8倍相当の加算額となります。

介護職員処遇改善加算の取得状況

では、実際にどの程度の介護施設が処遇改善加算の取得を行っているのでしょうか。
厚生労働省による介護給付費等実態調査の審査分までの集計によると、から開始された処遇改善加算2(旧加算1)は開始されたに66.1%の取得率でしたが、徐々に増えており、には72.1%となっています
反対に、処遇改善加算3(旧加算2)は時点では81.2%でしたが、処遇改善加算2(旧加算1)が始まったには18.6%に激減しています。
介護人材の処遇改善について(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)

平成29年度に新設される処遇改善加算1についても、開始されるには多くの介護施設が処遇改善加算2(旧加算1)から移行するものと予想されます。

介護職員処遇改善加算の効果

時点での処遇改善加算の取得率は旧加算1~4の全体で88.1%となっており、多くの介護施設で介護職員の給料アップが行われていると考えられます。
厚生労働省の平成27年度介護従事者処遇状況等調査によると、介護職員処遇改善加算2(旧加算1)を取得した介護施設のうちからの期間において介護職員の1年間の平均月給の上昇額は13,170円という結果になっております
は処遇改善加算2(旧加算1)の開始前なので、には12,000円の賃上げが見込まれるところ、それ以上の賃金アップとなっているようです(介護職員以外の従事者は12,000円を下回っています)。
介護人材の処遇改善について(厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会)

これは処遇改善加算以外の要因も考えられますが、いずれにしても介護職員の給料アップという良い流れができつつあるのではないでしょうか。

介護職員処遇改善加算により介護職員の給料はアップしていくことが期待されますが、冒頭でも述べたように人手不足なのは介護業界だけではありません。
介護業界以外も人手不足により賃上げをすることが考えられるので、介護業界はそれ以上の賃上げをしていく必要があります。
介護業界の人手不足解消に向けて、さらなる処遇改善加算による賃上げをすることが重要になっていくと考えられます。

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