人手不足

介護ロボットの導入で人手不足は解消されるのか?

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介護ロボット

介護ロボットで介護職員の負担を軽減する

科学技術の発展と普及により生活支援や医療などを目的とした様々なロボットが開発、導入されるようになってきました。
近年では介護業界でも本格的に導入する動きが始まっています。

介護ロボットと言っても、一般的に想像するような人型ロボットではなく、腰などの身体的負荷を軽減するための装着型ロボットから歩行アシスト、電動ベッド、見守りセンサーなどがこれにあたります。
高齢者や要介護者の支援のための介護ロボットと介護する側の負担軽減のための介護ロボットがあります。

介護データ・用語定義

この記事の中で扱う数字や用語の説明です。

介護データ

10万円
平成28年度の介護ロボット普及促進事業における介護ロボット1機器あたりの補助金の上限金額額(20万円未満のものは価格に二分の一を乗じて得た金額が上限)
一億総活躍社会の実現に向けた取組(厚生労働省)
300万円
介護ロボット等導入支援特別事業(平成27年度補正予算)における1事業所あたりの補助金の上限金額額
一億総活躍社会の実現に向けた取組(厚生労働省)

介護ロボットの目的

介護ロボットの目的は、高齢者などの介護サービス利用者のためと介護施設で働く介護職員のための2つがあります。

介護サービス利用者の生活補助

まず第一に、高齢者などの介護を必要とする要介護者の生活を支援するためです。
高齢になるにつれて一人での生活が難しくなる場面が多くなりますが、歩行アシストや電動の介護ベッドなどの安全に暮らすための介護ロボットを利用することで高齢者や要介護者の生活を補助することできます。
さらに、見守りシステムなど利用することで万が一の事態にも素早く対応することができ、介護ロボットによって安全と安心を提供することが期待されます。

また、入浴や排せつで介助が必要な要介護者は家族や介護職員に介助してもらいますが、ポータブルトイレや入浴支援の介護ロボットを利用することで相手に気を遣う必要がなくなるということも一つの利用目的と言えるのではないでしょうか。

介護従事者の負担軽減

もう一つは、介護職員などの介護サービスを提供する側の身体的負担を減らすためです。
介護施設での業務は重労働や長時間労働が問題の一つなっています。
頻繁に行う移乗介助や入浴介助、排せつ介助では身体的負担も大きく、特に腰に負荷がかかります。
また、介護職員は女性が多いため男性よりも重労働の負担が大きいこともあり、介護ロボットによる負担軽減が必要とされています。

人手不足の影響

重労働や長時間労働は介護業界における慢性的な人手不足が原因にもなっており、介護職員の人手不足により、職員一人あたりの負担が大きくなってしまいます。
超高齢社会の現代では生活の支援を必要とする高齢者や介護を必要とする要介護者が多く、今後はさらに増える見込みとなっています。
これに対して、介護従事者も増えてはいるものの要介護者の伸び率が大きく、高齢者を支える側の介護職員が足りないのが現状です。

このような事態において、介護ロボットの導入が急務となっております。
例えば、3人の介護職員が必要な介助を介護ロボットを利用することで2人で行うことができれば、人手不足の解消に向かいます。
すぐに人手不足が解消するわけではありませんが、多くの介護施設が介護ロボットが導入、普及していくことで徐々に解消に向かっていくことが期待されます。

介護ロボットの種類

昨今では、介護ロボット事業に参入する企業が多くなってきており、様々な介護ロボットが開発されています。
介護ロボットの普及には、開発する側と利用する側のニーズが合っていることが重要です。ニーズがなかったり介護施設で不向きな介護ロボットは開発しても意味がありません。
現在は、厚生労働省と経済産業省において以下の8つの重点分野で開発、導入が進められています。(引用元:介護ロボットポータルサイト

移乗介助機器(装着型)
ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器で、以下の特徴を持つものを装着型移乗介助機器として重点的に開発を行います。

  1. 介助者が装着して用い、移乗介助の際の腰の負担を軽減する。
  2. 介助者が一人で着脱可能であること。
  3. ベッド、車いす、便器の間の移乗に用いることができる。
移乗介助機器(非装着型)
ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う以下の特徴をを持つ非装着型の機器を、非装着型移乗介助機器として重点的に開発を行います。

  1. 移乗開始から終了まで、介助者が一人で使用することができる。
  2. ベッドと車いすの間の移乗に用いることができる。
  3. 要介護者を移乗させる際、介助者の力の全部又は一部のパワーアシストを行うこと。
  4. 機器据付けのための土台設置工事等の住宅等への据付け工事を伴わない。
  5. つり下げ式移動用リフトは除く。
移動支援機器(屋外型)
高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた以下の特徴を持つ歩行支援機器を、屋外型移動支援機器として重点的に開発を行います。

  1. 使用者が一人で用いる手押し車型(歩行車、シルバーカー等)の機器。
  2. 高齢者等が自らの足で歩行することを支援することができる。搭乗するものは対象外。
  3. 荷物を載せて移動することができる。
  4. モーター等により、移動をアシストする。(上り坂では推進し、かつ下り坂ではブレーキをかける駆動力がはたらくもの。)
  5. 4つ以上の車輪を有する。
  6. 不整地を安定的に移動できる車輪径である。
  7. 通常の状態又は折りたたむことで、普通自動車の車内やトランクに搭載することができる大きさである。
  8. マニュアルのブレーキがついている。
  9. 雨天時に屋外に放置しても機能に支障がないよう、防水対策がなされている。
  10. 介助者が持ち上げられる重量(30kg以下)である。
移動支援機器(屋内型)
高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器。

  1. 一人で使用できる又は一人の介護従事者の支援の下で使用できる。
  2. 使用者が自らの足で歩行することを支援することができる。搭乗するものは対象としない。
  3. 食堂や居間での椅子からの立ち上がりやベッドからの立ち上がりを主に想定し、使用者が椅座位・端座位から立ち上がる動作を支援することができる。
  4. 従来の歩行補助具等を併用してもよい。
  5. 標準的な家庭のトイレの中でも、特別な操作を必要とせずに使用でき、トイレの中での一連の動作(便座への立ち座り、ズボンの上げ下げ、清拭、トイレ内での方向転換)の際の転倒を防ぐため、姿勢の安定化が可能であれば、加点評価する。
排泄支援機器
排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能な以下の様な特徴を持つトイレを、排泄支援機器として重点的に開発を行います。

  1. 排泄物のにおいが室内に広がらないよう、排泄物を室外へ流す、又は、容器や袋に密閉して隔離する。
  2. 室内での設置位置を調整可能であること。
入浴支援機器
ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器

  1. 要介護者が一人で使用できる又は一人の介助者の支援の下で使用できる。
  2. 要介護者の浴室から浴槽への出入り動作、浴槽をまたぎ湯船につかるまでの一連の動作を支援できる。
  3. 機器を使用しても、少なくとも胸部まで湯に浸かることができる。
  4. 要介護者の家族が入浴する際に邪魔にならないよう、介助者が一人で取り外し又は収納・片付けをすることができる。
  5. 特別な工事なしに設置できる。
見守り支援機器(介護施設型)
介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた以下の様な特徴を持つ機器およびプラットフォームを、介護施設型見守り支援機器として重点的に開発を行います。

  1. 複数の要介護者を同時に見守ることが可能。
  2. 施設内各所にいる複数の介護従事者へ同時に情報共有することが可能。
  3. 昼夜問わず使用できる。
  4. 要介護者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等)から得る情報だけに依存しない。
  5. 要介護者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを検知し、介護従事者へ通報できる。
  6. 認知症の方の見守りプラットフォームとして、機能の拡張又は他の機器・ソフトウェアと接続ができる。
見守り支援機器(在宅介護型)
在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備 えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム

  1. 複数の部屋を同時に見守ることが可能。
  2. 浴室での見守りが可能。
  3. 暗所でも使用できる。
  4. 要介護者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等)から得る情報だけに依存しない。
  5. 要介護者が端末を持ち歩く又は身に付けることを必須としない。
  6. 要介護者が転倒したことを検知し、介護従事者へ通報できる。
  7. 要介護者の生活や体調の変化に関する指標を、開発者が少なくとも1つ設定・検知し、介護従事者へ情報共有できる。
  8. 認知症の方の見守りプラットフォームとして、機能の拡張又は他の機器・ソフトウェアと接続ができる。

介護ロボットはロボット産業の一つと位置づけられているため、経済産業省の推進事業でもあります。
そして、実際に利用する介護施設等は厚生労働省の管轄にあるため、省庁間での連携が重要となってきます。

介護ロボットの費用

実用性のある介護ロボットの開発、導入が進められていますが、現在は多くの介護施設が資金繰りに(きゅう)する状態です。
例え介護ロボットが大量に生産されても、介護施設に介護ロボットを導入する資金力がなければどうしようもありません。

補助金の活用

そんな中、厚生労働省の介護ロボット等導入支援特別事業において、介護ロボットを購入やリースをする介護施設に対して、最大10万円の補助金を交付しています。
27年度の補正予算では52億円もの予算が介護ロボットのために確保され、1事業所あたり上限300万円までの補助金が支給される案がありました。
しかし、これに補正予算を大きく上回る応募が殺到したため実際には1事業所あたり92万7,000円となり、交付先の対象は全国で5,475の施設・事業所になりました。

また、28年度補正予算や29年度予算でも介護ロボットに多額の予算が割り当てられており、さらなる補助金が期待されます。
平成29年度予算概算要求の概要(厚生労働省)
ロボット介護機器開発・導入促進事業(経済産業省)

介護ロボットの価格は高いもので数百万円、安いものでも数万から十数万円であり、補助金なしでは購入などをすることは難しいと言えます。
補助金の対象となっているものは数十万円のものが多いようです。

介護業界では2025年に37万7,000人の介護人材が不足すると言われています。
この問題を乗り越えるためには介護ロボットが必要不可欠だと考えられ、今後のさらなる介護ロボットの開発や導入に期待が高まっています。

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