低賃金

介護報酬と介護職員の給料の関係

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介護報酬

介護報酬の引き上げで給料はアップするのか

に1.14%の介護報酬の引き上げが行われました。
本来であれば2018年度に介護報酬改定が行われますが、今回の介護報酬の改訂は同じくから新設されたの加算額拡充のために臨時に介護報酬の引き上げとなりました。
平成29年度介護報酬改定の概要(厚生労働省)

介護報酬の引き上げにより介護職員の給料アップが期待されるところですが、今回は介護保険制度が始まってから現在までに行われた介護報酬の改定を介護職員の給料の推移とともに振り返ってみます。

介護データ・用語定義

この記事の中で扱う数字や用語の説明です。

介護データ

427万5,500円
2001年度時点におけるケアマネージャーの平均年収(きまって支給する現金給与額×12ヶ月+ボーナスの平均金額)
賃金構造基本統計調査
375万9,600円
2016年度時点におけるケアマネージャーの平均年収
賃金構造基本統計調査

介護関連用語

きまって支給する現金給与額
基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、超過労働給与額も含まれる。手取り額ではなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額
賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明(厚生労働省)

介護報酬改定

介護報酬とは、介護保険が適用される介護サービスを提供した介護施設に対して支払われるサービス費用のことです。
厚生労働省のホームページでは次のように定義付けられています。

  • 介護報酬とは、事業者が利用者(要介護者又は要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用をいう。
  • 介護報酬は各サービス毎に設定されており、各サービスの基本的なサービス提供に係る費用に加えて、各事業所のサービス提供体制や利用者の状況等に応じて加算・減算される仕組みとなっている。
  • なお、介護報酬は、介護保険法上、厚生労働大臣が社会保険審議会(介護給付費分科会)の意見を聞いて定めることとされている。
介護報酬

図の④利用者負担は一部の利用者は自己負担率が2割となります。さらにからは一部の利用者は3割負担となる予定となっております。
介護報酬について(厚生労働省)

また、介護報酬と似た言葉で介護給付費というものがありますが、介護給付費も基本的には介護報酬と同じ意味と受け取って構わないかと思います。
報酬とは介護サービスの提供によって事業者側が受け取る報酬であり、給付とはサービスの対価として報酬を支払う側の言葉になります。

これまでに実施された介護報酬改定

介護報酬の改定は原則として3年に一度行われますが、介護保険法が施行された2000年から現在までに計8回行われています。
その時々の介護業界の状況や経済状況によって介護報酬の引き上げられたり引き下げられたりしています。

改定年度 改定率
2003年 -2.3%
2005年 -1.9%
2006年 -0.5%
2009年 +3.0%
2012年 +1.2%
2014年 +0.63%
2015年 -2.27%
2017年 +1.14%
介護報酬改定の歴史

介護報酬と給料の関係

介護報酬とは営利企業で言うところの売上です。
社員の給料(人件費)は基本的には売上から支払われるため、介護業界においても介護職員の給料は介護報酬から支払われることになります。
つまり、介護職員の給料は介護報酬の引き上げによってアップするはずと考えられます。

では、実際にケアマネージャー(介護支援専門員)、ホームヘルパー、福祉施設介護員の3つの職種について、賃金構造基本統計調査による給料の推移を見ていきたいと思います。
賃金構造基本統計調査

なお、介護保険法は2000年から開始されてますが、2000年度の介護関連の給料データはないようなので2001年からのデータになります。
月給は各種手当てを加算した額で税金や保険などを控除する前の金額です。(手取りではありません)
年収は月給×12ヶ月+ボーナスを合計した額としています。

ケアマネージャーの平均給料

年度 介護報酬改定 月給 ボーナス 年収
2001年 27万8,500円 93万3,500円 427万5,500円
2002年 28万1,500円 96万1,200円 433万9,200円
2003年 -2.3% 27万0,500円 84万2,400円 408万8,400円
2004年 27万2,800円 78万7,000円 406万0,600円
2005年 -1.9% 26万7,400円 71万3,800円 392万2,600円
2006年 -0.5% 26万0,300円 69万7,400円 382万1,000円
2007年 26万7,100円 65万4,100円 385万9,300円
2008年 26万0,300円 67万5,300円 379万8,900円
2009年 +3.0% 26万0,400円 62万3,900円 374万8,700円
2010年 26万2,800円 63万3,700円 378万7,300円
2011年 26万1,700円 63万9,100円 377万9,500円
2012年 +1.2% 26万0,400円 54万6,500円 367万1,300円
2013年 25万8,900円 55万8,800円 366万5,600円
2014年 +0.63% 26万2,900円 56万7,700円 372万2,500円
2015年 -2.27% 26万1,600円 56万7,300円 370万6,500円
2016年 26万6,000円 56万7,600円 375万9,600円
ケアマネージャーの平均給料の推移

2001年と2016年を比べると約50万円も給料が下がっているという驚きの結果になっております。
しかし、介護報酬の引き下げや引き上げによって給料が同様に増減するというわけではないようです
2009年における+3.0%の大きな引き上げにおいてはボーナスが減り結果として年収も低くなっており、2015年の-2.27%においても月給とボーナスともにほぼ変わらない結果となっており、介護報酬が給料に関係するとは言い難いことが(うかが)えます。

ホームヘルパーの平均給料

年度 介護報酬改定 月給 ボーナス 年収
2001年 20万8,200円 47万5,800円 297万4,200円
2002年 21万1,100円 55万4,200円 308万7,400円
2003年 -2.3% 20万0,100円 49万0,700円 289万1,900円
2004年 21万2,600円 44万6,200円 299万7,400円
2005年 -1.9% 19万8,600円 35万6,100円 273万9,300円
2006年 -0.5% 20万2,100円 30万8,900円 273万4,100円
2007年 21万3,100円 28万7,300円 284万4,500円
2008年 21万1,700円 27万8,600円 281万9,000円
2009年 +3.0% 20万2,500円 27万2,100円 270万2,100円
2010年 21万0,900円 33万5,500円 286万6,300円
2011年 21万7,900円 33万7,700円 295万2,500円
2012年 +1.2% 20万8,500円 28万2,600円 278万4,600円
2013年 21万8,200円 27万2,300円 289万0,700円
2014年 +0.63% 22万0,700円 28万5,900円 293万4,300円
2015年 -2.27% 22万5,100円 34万1,900円 304万3,100円
2016年 22万8,500円 30万6,600円 304万8,600円
ホームヘルパーの平均給料の推移

2001年と2016年を比べると2016年のほうが7万円以上給料が高く、ケアマネージャーとはまったく異なる結果となっております。
全体として増減幅はあまり大きくありませんが、元々低い給与水準であることからこれ以上下がらないということも考えられます。
介護報酬と給料の関係については、ケアマネージャーの給料と同様にあまり相関関係があるとは言えない結果です。

福祉施設介護員の平均給料

年度 介護報酬改定 月給 ボーナス 年収
2001年 22万7,700円 72万2,100円 345万4,500円
2002年 23万2,200円 70万3,100円 348万9,500円
2003年 -2.3% 22万6,800円 68万1,000円 340万2,600円
2004年 22万1,400円 63万0,000円 328万6,800円
2005年 -1.9% 21万1,300円 51万6,200円 305万1,800円
2006年 -0.5% 21万2,400円 50万7,700円 305万6,500円
2007年 21万0,700円 46万6,700円 299万5,100円
2008年 21万5,800円 50万5,000円 309万4,600円
2009年 +3.0% 21万3,900円 47万6,600円 304万3,400円
2010年 21万4,500円 46万6,600円 304万0,600円
2011年 21万6,400円 47万2,200円 306万9,000円
2012年 +1.2% 21万8,400円 47万4,400円 309万5,200円
2013年 21万8,900円 44万4,800円 307万1,600円
2014年 +0.63% 21万9,700円 45万6,700円 309万3,100円
2015年 -2.27% 22万3,500円 47万9,000円 316万1,000円
2016年 22万8,300円 48万5,300円 322万4,900円
福祉施設介護員の平均給料の推移

2001年と2016年を比べると23万円程度給料が低くなっていることがわかります。
しかし、2005年から横ばいが続いていて近年は少し持ち直しているようです。
ケアマネージャーやホームヘルパーの給料と同様に介護報酬と給料における関係はあまりないと言えるでしょう。

介護報酬の引き上げが介護職員の給料アップにつながるという過程のもとに給料の調査をしてみましたが、必ずしもそうとは言えないようです。
このことは介護報酬を引き上げても介護職員の給料がアップするとは限らないということになります。
介護報酬の引き上げや介護職員処遇改善加算が介護職員の給料アップにつながるような仕組みを確立することが、低賃金問題のみならず人手不足対策においても重要になってきます。

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